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アンサンブル会の理念

仕事=社会参加イメージ 仕事=社会参加イメージ

アンサンブルが目指すもの

社会福祉法人アンサンブル会 
理事長 小椋年男

当法人は平成13年11月に設立され、翌年通所授産施設
「ワーキングスタジオ・アンサンブル」(定員20名)が松川町に
誕生しました。もともと障害の子を授かった親の取り組みは、
以来22年 現在通所者200名の規模になりいろんな業種で
働いています。
この通所利用者の多くがアンサンブルのグループホームを利用し、
ここには365日24時間の支援体制が整備されています。

このような支援体制の整備・構築がどのような考え方に基づいて
なされ、そしてその目標がどこまで達成されているかをご説明
させていただきます。

まず<自立>ですが、いつまでも親に依存せず年金や工賃などの自前の収入を原資に自分で生きて行くことを私たちは自立と定義します。アンサンブルでは、既に140名以上の人達が自分の収入だけでグループホームの費用を始め、小遣いやスマホ料金など全て自分でまかなっています。家庭からの持ち出しは一人も受けていません。自立は経済の自立という裏付けがあって初めて成り立つのであって、その肝心なところを曖昧にした言葉だけの自立では意味がありません。

次に<社会参加>ですがアンサンブルではほとんどの人達が毎日仕事を通じての社会参加を実践しています。世の中に役に立つ・受け入れられるものを生産し流通させ、それに生きがいと意義を実感できることを社会参加の基本と考えます。この人達の親も兄弟姉妹もほとんどの人達がそのようにし人生を送ります。障害があっても同様の生き方を選択できる。これが社会参加の大本であり、ノーマライゼーションとはこれを指すのだと思います。
このような考えの下アンサンブルのいわゆる授産売上は令和2年度1億4千万円を超えています。
もちろんこの売上は工賃(自立のための収入の一部)の確保を目的としますが、しかし単に独り善がりの生産活動では世間に買ってもらえません。自分たちの作ったものが世の中に買ってもらえることこそが地域住民とつながっていること、つまり<社会参加>の証明になるのです。

そして以上のことを<町の中>で実践することが何よりも大事と考えてきました。町の中に働く場と暮らしの場(グループホーム)があれば、運転免許を取ることが困難な人たちも自分の足で歩いて必要な用を達すことができます。もともと地域の中で生まれたこの障害の人達が、大人になって再び地域の中で生きていくことは全く当然のことなのです。関係者以外はめったに訪れる人もない辺鄙な場所で安寧の地を求めるようなことを私たちは選択しません。
これらのことはより障害の重い人たちにとっても同じように重要で、幸いこの場合障害基礎年金が一級の場合がほとんどですから、逆に自立のための経済的裏付けは安定しているとも言えます。アンサンブルの場合は中・軽度の人達も重度の人達も区別なくグループホームで暮らし、ともに自立を実現しています。

そしてこれらの目的を<仲間と一緒に>行うことが最も重要なことです。そこでは障害のためにバカにされたり、いじめられたりすることがありません。また同じ目線の高さで人生を共有できる多くの仲間がいて、話題や趣味の共有が健常の人達同士あることが当然であるように、この人達にもまた存在します。それが人生にとってどれほど重要でしょう。

障がいのある人たちの自立は、その親にとっては過大な負担からの
解放です。我が子が誕生以来、とりわけ母親はこの過大な負担に
耐えてきました。しかしその負担は我が子が18歳までで終わるべきと
アンサンブルは考えてきました。その後は社会がその負担を肩代わり
すべきと。「社会」とはこの国の「制度」です。ですから制度の
組み合わせと活用によって「親の過大な負担からの解放」を図る
ことは、取りも直さず「障害の子の自立」を実現することと同義
なのです。

さらにアンサンブルでは法人の全額負担で「老後生活支援基金」という
制度を スタートさせました。働けなくなった老後(それは生活基盤の
重要な要件である工賃3万円がなくなることです) も少しも困らない
ための基金を発足させました。必要に応じてホーム利用者はここから
引き落とすことができます。親がいなくなった後も 生涯安心して仲間と
生きて行くのです。