平成17年アンサンブル伊那第Ⅰ開設時から、重い自閉症の人を受け
入れてきました。広大な平地林5,000坪を間伐して、落ち着いて
いられる場所と働く場所を作りました。この広い空間では勝手に
飛び跳ねても奇声を上げても誰も気にしません。規制や抑止が
なくなると人はやがて素直になるのです。また重度の重複障害の
人たちの受け入れに努めてきました。重症心身障害の方の支援専用の
建物と専用のグループホームも作って来ました。多様な障害の人
たちのコミュニティーの見本となるべき施設になりました。
「アンサンブル松川」が開いたとき伊那市にある伊那養護学校の保護者
の方々が何度も見学にいらっしゃいました。そして「私たちの子供の
ために伊那にもアンサンブルを作ってください」と何度も何度も要請
されました。そして平成17年に誕生したのが「アンサンブル伊那」です。
場所が決まるまで随分苦労しましたが、広い敷地にゆったりした建物を
作ることができました。その後どんどん利用希望者が増えて、
平成25年に「アンサンブル伊那第Ⅱ」を開設しました。現在2施設
合わせて90名超の利用者が通っています。8つの仕事班があり、
それぞれの利用者に合った仕事をしています。重症心身障害の利用者
も、重度の自閉症の人も必要な訓練を受けながら、仲間の中で一日を
過ごします。全体が穏やかで賑やかな大家族のような毎日です。
アンサンブル伊那の農業班は野菜作りと果樹が中心。年を追うごとに果樹園 の比重が高まりブドウ、りんご、ブルーベリー、あんずと果樹園の面積 は2万㎡を越しました。新苗の定植からの園作りも続いてます。ブドウ狩り もリンゴ狩りも受け入れてます。
5,000坪の平地林が職場です。あちらでは一人で責任を持って薪のタガ詰め。 こちらでは二人一組で機械を操り、太い木もどんどん割って行く。運ぶのが 大好きな利用者はできた薪をひたすら運びます。分かりやすい仕事なので、 働いている実感が湧いてきます。重い自閉症の利用者も落ち着いて1日を送 っています(段々仕事が出来るようになって)。
お洒落なカフェレストランなのに何故かお客様が減っていく現象がありました。これではならじと昼定食を開始。「げんこつコロッケ膳」など味とボリュームと価格で勝負の人気商品が生まれ連日盛況になりました。店内ではスイーツ班のケーキや香り高いコーヒーも召し上がれます。厨房で働く利用者、フロア係の利用者、皆お客様に喜んでいただくのが大好きです。スイーツ班のクッキー・ケーキ、縫製班の手芸品も販売してます。
間伐材の活用に私たちも貢献できないだろうかと考えて、アンサンブル伊那第Ⅱ の建設時、木工作業棟を作りました。木材の乾燥から製材、加工まで一貫してで きる設備を備えています。現在駐車場などに敷く木製タイルを製造しています。 大きな機械がいくつもあるので怪我をしないように気をつけています。
毎日120食以上のランチを作っています。職員2名利用者6名のワンチーム。 温かいものを温かいうちに。味はもちろん、衛生管理にも気配りを欠かしま せん。ただし正午にはみんなが押し寄せるので毎日戦場のよう。
ミシンが得意な人は一日ミシン。編み物が得手の人は特技を生かして可愛い商品。 ここでは手芸の好きな人たちが生き生きと仕事に打ち込んでます。好きな仕事で 給料を生み出すことが目標に。
アンサンブル伊那全体の清掃と環境整備がメインです。黙々と人に喜ばれる仕事に打ち込む ことをやりがいにする利用者たちです。
令和6年5月に新たに開設したアンサンブル伊那第3の施設です。雄大な自然に囲まれた環境の中で薪づくり、枝物の出荷、キノコ栽培に取り組んでいます。